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Adobe Premiere Pro リッチなテロップの勘所

動画編集におけるテロップは、話者の感情、その場の空気感、編集の方向性・・・など、メタでハイコンテクストなさまざまな要因に基づいて好ましいデザインが変わってきます。編集作業では、映像素材からそれらを敏感に感じ取って、スタイルを選定せねばなりません。

今回は、Premiere Pro のエッセンシャルグラフィックスとエフェクト機能を使って、いくつかのシチュエーションにおける好ましいテロップデザインを考えてみます。

1. ベーシック(発話のトレース)

通常の発言をそのまま文字起こしするタイプのテロップです。必ずしも発言のすべてが文字起こしされるわけではなく、発言の中でも特に聞かせたい部分を強調するために使われます。そのため、過度な装飾はいけませんが、ある程度は目を引く書体、配色で表現するべきでしょう。
この例では、淡い基本色(紫色)の「フォントワークス UD角ゴ ラージ E」に、ぼかしのないドロップシャドウを重ねることで、若干のカートゥーン感を表現しています。
発話の中で特に重要な部分は、フォント(もしくはフォントウェイト)とカラーを変更すると効果的です。ここでは「公事方御定書」の部分を「Shourai Sans」、カラーは基本色の明度を下げています。

2. 感嘆、感動

ここから感情のトレースに入ります。
感嘆や感動を表現するためのテロップです。
ぼかしのあるシャドウをつけることで、「音(声)」ではなく「感情」の表現ができるようになります。
なお、胸中を表すための書体としては、「フォントワークス クレー」が適しているでしょう。

3. 強い思い、願い

静かでありながら強い思いを表現するためのテロップです。2 よりも強い願いを表します。
配色に関して、2 のように、「文字色が薄くシャドウ色が濃い」という関係が一般的ですが、今回はあえてそれを反転させています。こうすることで、文字から発せられるエネルギーを感じることができ、通常ではない強い感情を表現できるようになります。

4. 憤怒

強い憤りを表すテロップです。
フォントは鋭くキリッとした筆線が特徴の「フォントワークス 筑紫B見出しミン」を使用し、シャドウをふたつ重ねることで心の奥底から沸き立つ強い気持ちを表現しています。
また、テロップレイヤーにカラーエンボスエフェクトをかけることによって立体感を出しています。

5. 重圧、落胆

落ち込みや落胆を表すテロップです。
憤怒とは異なり、かなり太いウェイトのフォント「Shourai Sans」を使用し、重くのしかかる負の感情を表現しています。
また、カラーエンボスの他にノイズエフェクトを加えることで、ザラッとした重い石のような質感を追加しています。

6. 恨み、心の叫び

恨みや心の叫びを表すテロップです。
濃い黒のシャドウを背景に置くことで、ドロっとした怨念を表現しています。紫色の補色である黄緑色で縁取りすることで、異質感を出すとともにメリハリを加えています。

7. 喜び、興奮、愉悦

興奮や愉快な気持ちを表すテロップです。
特筆すべきはフォントで、「フォントワークス UD丸ゴ ラージ」を使用しています。この書体はユニバーサルデザインを目的に作られたものなので、可読性を確保するために文字の「はらい」部分が誇張されているのですが(「す」のように)、これがいかにも愉快な雰囲気を醸し出しているのです。

8. 冷笑、内省、冷静なツッコミ

冷静なツッコミや冷笑を表すテロップです。
テレビ番組などでよく見かけますね。飾りのないシンプルな白文字と黒のシャドウは、言葉の意味をストレートに伝えます。そのストレートさが気持ち良い。
一画一画がはっきりと書かれた「平成明朝体」は、冷静、かつ鋭いツッコミにぴったりでしょう。

9. 番外編・メタな視点によるツッコミ

これは、出演者というより編集者によるツッコミを表すテロップです。こちらも太めの明朝体で鋭くツッコんでいます。
文字に背景をつける表現は、強調表現としてとても有効なのですが、使いすぎるとしつこくなるので使い所に注意しなければなりません。

10. 番外編・勝利、栄光、高価

これは、勝利やお金を表す際に有効な金のグラデーションを用いたテロップです。
このようなグラデーションを作るコツとして、それぞれの色で明度、彩度だけでなく色相を変えることです。明度と彩度をかえただけでは、なんだかのっぺりした印象になってしまいます。この例では、2種類の明度の黄色の他にビビッドなオレンジ色を中間に挟むことで、リッチなグラデーションに仕上げています。

― 以上になります。テキストのデザインで表現できる感情はまだまだありますが、とりあえず面白いものを集めてみました。

私について

スズキ ヒロマサ

多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 3年(20歳)
グラフィックデザイン、映像、Webデザイン、ゲームデザイン/プログラミング、書体デザイン、UIデザインなど。
「きもちいいデザイン」を目標にさまざまなメディアを別け隔てなくデザインしています。
主に使用するソフトウェアは Adobe AfterEffects、Premiere Pro、Illustrator、Photoshop、Blender、Unity、Glyphs。

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